皆さん、こんばんは。
歩です。
本日は、ジュニがリンパ腫と診断され、余命宣告をされた日の後編です。
前編はこちらの記事からどうぞ。
可能な限り書き起こしていますが、時折乱文になっているかもしれません。
お見苦しかったら、読み飛ばしてください。
では。
↓
↓
母;「1か月、ですか…っ?」
K先生から告げられた言葉に、隣で母が崩れ落ちるのを感じながらも、茫然としてしまった。
(1か月…?2週間前まで、あんなに元気だったジュニが…?)
信じられないことだったが、K先生の気づかわしげな視線と冷静な態度が、まぎれもない事実なのだ、と告げていた。
私達が少し落ち着きを取り戻すのを待って、K先生は言葉を続けた。
K先生;
「リンパ腫の場合、治療法は、抗がん剤を用いた化学療法になります。
そして、効き目はあるか、というと、効きます。
けれど、副作用を相当覚悟しなければいけません。
特に最初の導入期は、一番命を落とす可能性が高い。
導入期の副作用は、感受性が高いので、効き目が高く、腫瘍が一気に壊れる。
腫瘍溶解症候群、腫瘍が壊れたことによって、毒素が体中に周り、多臓器不全を起こしてショック状態になる可能性を覚悟して治療していかなければいけない。
また、抗がん剤投与による基本的な副作用には、消化機能不全、嘔吐、下痢、食欲不振、骨髄で白血球が作られにくくなってくるので、血が止まりにくくなったり、免疫力が下がることによって感染症にかかりやすくなるというリスクがあります」
私は、スマホで録音しながら、必死にK先生の説明を頭に叩き込んでいた。
K先生は一旦説明を切り、隣でジュニを抱きしめて泣いている母を気遣ってくれた後、言葉を続けた。
K先生;
「大変、酷なお話をしているのは分かっているんですが、あまり悩んでいる時間がないんです。
リンパ腫の場合は、2,3日以内に治療に入らないと、どんどん広がっていって手遅れになることも多い。
ただ、抗がん剤治療も半年はかかります。
その間治療費もかかるし、処置経過観察もするなど負担も増えるので、ジュニちゃんのご家族全員の同意が必要です。
そうしないと、後々トラブルになってしまいますから」
ずっと泣いていた母が、ふと顔を上げた。
母;
「リンパ腫の治療が、仮に奇跡的にうまくいった場合は、この子は、どれくらい生きられますか?」
K先生;
「ジュニちゃんの場合は、多中心型、いわゆる体表のリンパ節から腫瘍ができていると思われます。
その場合、1,2年の寿命は確保できると思われます。
ただ、ステージ5のbというかなり進行した状態からの治療開始となると、導入期の反動が大きすぎて、ショック死を起こす可能性もあります。
全部で25週プロトコルといって、25週間、つまり半年間治療期間があります。
初めの3,4週目までで、大体普通は病気は全部消えるんです。
これを寛解と言います。根本治療はできません。
ただ、肉眼的に見える病気を消すことは可能なんです。
この寛解状態をどこまで維持できるか、がリンパ腫の治療の概要になります。
それで、1週間に1回の割合で抗がん剤を射っていって、大体3, 4週目で、ジュニちゃんの場合、寛解まで持っていけると思うんです。
そこまで行ければ、副作用は大分少なくなっていくと思います。そこまでが勝負です。
ですので、もし、抗がん剤の治療を希望される場合は、導入期の治療として、入院していただくことになります」
T先生;
「もし、ご家族全員での抗がん剤の治療をする、というご意向が固まりましたら、一度 ご連絡ください。
今日は、皮下点滴しますね。また、点眼剤も3種類お渡しします。
完全に見えるようになるかは分かりませんが、今大分ショボショボしている状態なので、それがなくなるだけでも少し違うと思いますから。
急激に視力が落ちたというのも、リンパ腫による影響がかなりあると思われます」
K先生とT先生の話を聞きながら、私は母を支えて小部屋を出た。
しっかりしろ、私。
私まで泣いている場合じゃない。
先生は、手遅れだ、とは言っていない。
危険な賭けになるけれど、まだ治療が間に合う時期でもあるんだ。
どうするべきか、考えなきゃ。
必死で自分を奮い立たせていた。