抗がん剤治療;血液検査結果の推移(余命宣告時~治療1回目)
皆さん、こんばんは。
歩です。
本日は、ジュニの余命宣告時から治療1回目までに至る、血液検査結果についてご紹介したいと思います。
ジュニがお世話になった病院では、どの愛犬・愛猫に対しても血液検査を毎回行っており、その結果をパートナーである飼い主さんに報告していました。
それは勿論、私達に対しても例外ではなく、毎回血液検査をして、
- 検査項目の意味
- 値の増減の意味
- 考えられる症状
などを、逐一細かく説明してくれていた為、私達もジュニの治療に対して、それなりに理解することができていました。
今回は、リンパ腫の治療を行っているワンちゃんや、その飼い主さん、または今後の愛犬との暮らしに備えて、「抗がん剤の効果って血液検査にどう反映されるの?」と疑問をもっていらっしゃる方の参考になれば、と思い、実際のジュニの血液検査を元に、治療の効果について報告していきたいと思います。
では。
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一般的に、犬の血液検査項目も私達人間と同じです。
以下の表は、余命宣告時~抗がん剤治療1回目に至るまでの計5回の血液検査を簡単にまとめたものです。
測定値 | |||||
宣告 | 導入期 1st | 導入期 2nd | 治療1st 入院時 | 治療1st 退院時 | |
PCV | 25 | 25 | 25 | 25 | 25 |
WBC | 134 | 118 | 62 | 54 | 54 |
PLT | 15.2 | 20 | 21.1 | 35.7 | 37.2 |
TP | 7.4 | 8.2 | 8 | 7.6 | 7.6 |
GOT | 46 | 34 | ― | 16 | ― |
GPT | 38 | 49 | ― | 55 | ― |
ALP | 320 | 319 | ― | 707 | ― |
BUN | 27.7 | 44.9 | 44.3 | 48.3 | 42.1 |
CRE | 0.49 | 0.38 | 0.35 | 0.97 | 0.57 |
Na | ― | 149 | 151 | 146 | ― |
K | ― | 4.2 | 4.2 | 4.6 | ― |
Cl | ― | 118 | 121 | 112 | ― |
P | ― | 4.9 | 4.3 | 5.1 | ― |
CRP | 5.2 | ー | ー | ー | ― |
上記のほうで、参考基準範囲を超過したものは色を変えて表示してあります。
赤色は基準範囲を増加したもの、青色は降下したものです。
ジュニの余命宣告時、問題視されたのが「CRP : C反応性タンパク」の値が5.2と非常に高いことでした。
何も問題がなければ、このCRPの値は、0.9以下と非常に小さいのが普通です。
しかしこの値が高いと、体内で急性炎症が広い範囲で発生していることになります。
また、「PLT:血小板」が基準値よりも下回り、「TP:総タンパク」が基準値よりも上回った値が検出されたこともよくない傾向と判断されました。
PLTの値が低い場合、考えられる疾患としては、
・血液凝固障害 ・免疫疾患 ・骨髄抑制
TPの値が高い場合、考えられる疾患としては、
・出血 ・肝機能低下 ・糸球体疾患 ・吸収不良 ・飢餓
などがあげられます。
実際、この時の肝機能の項目の1つ、GOTがやや基準範囲より高めの46と出ていたこともあり、ジュニの肝臓がやや弱っていたことも想定されました。
導入期・抗がん剤治療の過程では、CRP, PLT, GOTの値はいずれも標準値に戻りましたが、代わりに起こったのが、腎臓機能の低下(BUN)と、電解質のバランス崩壊(Na, K, Cl)です。
元々、抗がん剤はリンパ腫を壊すためのお薬なので、それを打つと体内にいたリンパ腫が壊れて毒素が流れ出ることになるため、一時的に、肝臓や腎臓の値が悪くなる可能性があることは事前に説明されていました。
実際、抗がん剤投与した翌日の値は、全て40.0以上になっており、推定基準値「9.2~29.2」を大幅に超えてしまっていました。
しかし、これは抗がん剤治療を行うどのワンちゃんにも共通することなので、そこまで心配することではなく、むしろ、排尿や水分補給を殆ど行わないことが危険であり、その点ジュニはクリアしていたので、多分大丈夫だろう、という診断に至っています。
1回の血液検査結果だけでは見えてこないものもあるので、こうして定期的に検査して、隠れている病気の検査や、治療の効果などを説明していただけるのは、飼い主としては非常にありがたいな、と思いました。
そのおかげで、私達もジュニの様子や治療について正確に理解し、安心して治療に臨めたので、血液検査結果の推移というものは、家族もしっかり把握しておくことをお勧めします。