【愛犬のお葬式】ジュニを天国へ送るまで~前編~
皆さん、こんばんは。
歩です。
東京五輪まで残り30日前後。
IOCを始め、世界各国が実施する気満々ですが、その後、新型コロナウイルスの感染者などが激増しないことを祈るばかりです。
加えて、いよいよ本格的に暑くなってきました。
新型コロナの感染防止もそうですが、熱中症などにも皆さん十分お気を付けください。
さて、前回までは、ジュニが1か月の闘病生活も空しく、突如容態が急変し、急逝してしまったところまでを書きました。
lymphoma.hatenadiary.com
今回からは、私達がジュニを火葬するまでに行ったことや、当時の心境などについて書いていきたいと思います。
前回の記事の直後からの出来事を書いておりますので、愛犬や愛猫を亡くされたご経験のある方には辛い記憶を呼び起こしてしまうような記述もあると思います。
その場合は、無理に読まずに飛ばしてくださって構いません。
それでも読んでくださるという方は、下へどうぞ。
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ジュニの容態が危ない、との連絡をT先生から受けて、駆け付けた私と母だったが、あと一歩遅く、私達が病院に到着した直後に、ジュニは息を引き取ってしまった。
間に合わなかった。
最後のお別れさえ、言えなかった。
ほんの3日前まで、父に「お散歩連れて行って!」と尻尾を振ってせがんでいた程、元気だったのに…。
なんで、こんなことになってしまったんだろう。
まだ微かに温かいジュニの身体を抱きしめていたのは、おそらく1~2分にも満たない短い時間だったはずなのに、まるで永遠のように感じた。
T先生やスタッフさん達が、ジュニの身体を綺麗に整えてくれる、と仰ってくれたので、お言葉に甘えることにし、私と母は一旦、待合室へと戻った。
この日は平日の午後で、来院しているワンちゃんや猫ちゃんの飼い主さん達は、ほんの数組程度。
それが逆にありがたかった。
私は、父に連絡するため、スマホを手に動物病院の外に出た。
先程かけた番号にリダイヤルするだけなのに、指が震えていた。
私;
「父さん…ジュニ、天国へ逝っちゃった…ごめん…私達、間に合わなかったっ…
1人で、逝かせちゃったよ…っ…」
冷静に話そうと思っていたのに、言葉にしたらダメだった。
堪えていた涙が溢れ、声まで震えてくる。
自分の言葉で口にした瞬間、それまでどこか他人事のように感じていた、ジュニの死、という現実を、より強烈に叩きつけられて、受け入れたくないのに、受け入れざるを得なくなった。
いや、それよりももっと私を打ちのめしたのは、ジュニを1人で逝かせてしまったことだった。
先代のナナとあまりにも違いすぎる。
ナナが天国へ旅立った時、私は大学の春休み、そして土曜日だったため、父も休日で在宅だった。
最期の時間は、大好きな母の腕に抱かれ、私と両親、家族全員に見守られて逝った。
それに対して、ジュニはどうだ。
人一倍甘えん坊で、父にも母にも、私にも寝る時にはぴったりくっつきたがるし、家にいても同じ空間にいたがるような子だったのに、最期の時間、動物病院の狭い個室の中で、家族の誰も見送られず、1人で逝ってしまった。
ごめん…ごめん、ジュニ…‼ 1人で寂しい思いさせちゃって、ごめんね!
その後悔ばかりが胸の中に渦巻いて、父に事の経緯を報告しながらも、私は嗚咽が止まらなかった。
父;
「ジュニは、よく頑張ったな。お前も、母さんもよく頑張った。
これからのことは、ゆっくり考えよう。
とりあえず、ジュニを引き取って、母さんとちゃんと家に帰ること、これだけを今は考えなさい。
今日は、父さんも定時で上がって、まっすぐ帰るから」
本当は悲しいはずなのに、冷静に話す父の言葉に頷いて電話を切ると、さっきまで降っていた筈の雨はやみ、いつの間にか雲が晴れて、隙間から夕陽が差し込んできていた。
私;
(まるで道標みたい…
ジュニ、あの光に導かれて、今、お空へ向かって走って行ってるのかな…
ごめんね…ジュニ、ありがとう…)
雲間から射す夕陽の光が、まるでジュニの魂が天に召されていくみたいで、私はしばらくぼんやりとその景色を眺めていた。
それから10分ほど経って、主治医のT先生とK先生に呼ばれ、私達は個室に入った。
そこには、病院のスタッフさん達によって、綺麗に整えてもらったジュニが入った、キャリーケースがあった。
見た目は朝と何一つ変わらない。
けれど、もう中にいるジュニは、息をしていない。
撫でてあげても、呼んでも、答えてくれることはない。
到着した直後には微かにあった温もりも失われ、身体も硬直し始めていた。
K先生;
「私達の力が及ばず、本当に申し訳ないです。
できる限りの手を尽くしたのですが…ステージ5の段階で、ジュニちゃんの身体には、負荷がかかってしまったのでしょう」
私;
「いいえ、先生方の治療のおかげで、ジュニは1か月前、余命宣告の診断を受けた時よりも、一時見違えるほど元気になったんです。
目がまた見えるようになったことを自覚して喜んでいましたし、ご飯もまた積極的に食べるようになりました。
数日前だって、父にお散歩に連れて行って!ってせがんでいたんです。
先生方が手を尽くしてくれたおかげで、この1か月、ジュニは生き生きとしていました。
だから…今まで、ありがとうございました」
私と母は、そろって頭を下げた。
その後、K先生は、ジュニのお葬式についての提案をしてくれた。
先代ナナが眠るお寺の共同墓地に入れることも方法の一つだと言われたが、それは私が拒否した。
ナナの場合は、そのお寺がナナのかかりつけの動物病院から車で10分ほどの所にあり、比較的馴染みの深い土地であったことから、そこに決めた。
でも、ジュニにとってそこは、生前何の関りもない土地。
そんな所で、ジュニのお葬式をやりたくなかった。
今は、ナナが天国へ旅立った時よりも、ペット葬儀に関する理解や活動が広がっていて、色んな業者さんがいる。
K先生は、お力になれるなら、と、提携しているわけではないが、紹介できるペット葬儀屋さんのパンフレットを2部もらった。
K先生、T先生にお礼を言い、会計を終え、帰りのタクシーを病院の外で待っていると、フレンチブルと連れた女性(以下、フレブルの飼い主さん)に声をかけられた。
フレブルの飼い主さん;
「あの…こんにちは。覚えていらっしゃいますか?
2週間ほど前、待合室でお話ししたんですけれど…」
そのフレブルの飼い主さんには、見覚えがあった。
一度、ジュニの二度目の抗がん剤投与時だったと思うが、待合室で座席が近かった時にお話しする機会があり、その時にご家族のフレンチブルちゃんが、目の手術を午後に受けることになっていた筈だ。
あの時、大人しく母の腕に抱っこされていたジュニを、「可愛い、綺麗な子ですね」と声をかけてくれた。
母;
「あ…こんにちは。君は、目の手術、無事に終わったのかな?」
フレブルの飼い主さん;
「はい、おかげさまで。それで、あの…そちらは…」
母;
「残念ですが…つい先ほど、息を引き取りました…」
母の言葉と表情に、フレブルの飼い主さんは言葉が見つからないようだった。
それでも、悲嘆にくれる私達を覚えていて、心配して声をかけてくれたのだろう。
飼い主さんと一緒にいるフレンチブルちゃんも、目を真ん丸にして私達を見つめている。
まるで、「泣いてるの?大丈夫?」と訴えているようで、少し心が温かくなった。
母;
「君は、ジュニみたいにリンパ腫なんかにならないように気を付けるんだよ。
元気で、少しでも長生きしてね」
母の言葉に、フレンチブルちゃんは少し首をかしげて尻尾を振ってくれた。
母の気持ちが伝わったのかもしれない。
フレンチブルの飼い主さん;
「ありがとうございます…ワンちゃんのご冥福をお祈りいたします。
どうか、ご自愛なさってくださいね」
フレンチブルちゃんと飼い主さんの優しい言葉に、今はとても救われる。
改めて頭を下げ、私と母は到着したタクシーに乗り込み、帰宅の途についた。
さあ、ジュニ。お家へ帰ろう。