お姉ちゃん、遊ぼ~弟は、フワフワ甘えんぼのビションフリーゼ~

30年以上ビションフリーゼと過ごしてきた回顧録です。日々の記録に加え、病院やトリミングなど、その他もろもろについて、情報交換がてら交流を持てたらいいな、と思っています。

【愛犬のお葬式】ジュニを天国へ送るまで~後編②告別式~

皆さん、こんばんは。

歩です。

 

早いもので世の中は夏休み突入、そしていよいよ東京五輪が始まりましたね。

ただ一方で心配なのが、新型コロナの爆発的感染…こんな状況下で、果たして無事に終わってくれるのか、目下そこを心配している今日この頃です。

 

さて今回は、前回に引き続き、ジュニのお葬式の後半、告別式の様子について書いていきたいと思います。

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愛犬を亡くされた過去のある方には、辛い内容になっているかもしれませんので、ご注意ください。

では、どうぞ。

お通夜を終えた翌日。

予定通り10時に迎えに来たHさんの車に、ジュニの身体が入った棺を乗せ、私達はペット霊園の総本山に向かった。

 

およそ30分後で火葬場に到着し、Hさんが、棺ごとジュニを運び入れると、そこでは既に昨日お通夜に来てくれていたお坊さんが待機していた。

一礼をし、ジュニの遺影を仏壇にセットしてもらう傍ら、私達は、棺の中で眠るジュニの周りにお花を供えた。

カラフルな千羽鶴とお花に包まれると、ジュニの真っ白な毛並みがいっそう引き立って見え、

「ああ、ジュニって、こんなに綺麗な子だったんだな…」と改めて思った。

 

父が、週1でお風呂に入れ、よくブラッシングしてくれていたおかげだった。

まさか、最後にお風呂にいれてあげた直後に、容態が悪化し、その2日後に逝ってしまうなんて、父も思っていなかったに違いない。

この告別式が終わるまでの数日、私や母の前では泣かなかった父だが、夕食後や休日などに、ふらっと1時間ほどいなくなる時があった。

後で知ったことだが、父はこの時、ジュニと毎週行っていた散歩コースを、1人歩きに行っていたのだという。

ジュニの散歩係はいつも父で、もうルーティンとなっていたその外出がなくなってしまったことが、寂しくてたまらなかったんだろう。

 

準備が整い、お坊さんが火葬前の最後のお経を唱え始めても、私にはその声が、ただただ、耳を通り抜けていくだけだった。

いよいよ、これが最期…今世での、ジュニとのお別れの時。

お経が終わり、最後の挨拶をかわす時、私は、棺からジュニの頭だけを持ち上げ、抱き寄せた。

 

「ジュニ、今までありがとう…絶対に、忘れないからね、ジュニのこと…っ!」

 

心の中で、そう叫んだ。

本当は離れたくない。離したくない。

でも、時間は止まってはくれないのだ。

傍で控えていたHさんは、私達家族がそれぞれ最後の挨拶が済むのをじっと待っていてくれた。

 

Hさん;「もう、よろしいのですか?」

母;「はい…済みません、続きを進めてください…」

Hさん;「畏まりました。では、ジュニちゃんの棺、閉めさせていただきますね」

 

ここに来る道中に伺っていた話だと、この後にも4件くらい、告別式の予定が入っているという。

時間的にも押しているようだったのに、

「どうか、こころゆくまで、ジュニちゃんとお話しなさってください」

と、私達を労わってくれた。

本当に、ジュニを見送るにあたって、このペット葬儀業者に頼んでよかったと思った。

 

Hさんの手によって、棺の蓋が閉められ、取り付けられた小窓越しに、ジュニの顔を見つめる。

ありがとう。忘れないよ。

何十、何百と心の中で叫び続け、今この瞬間、ジュニの姿かたちを目に焼き付けておくことに、全神経を注ぐ。

その時間は、おそらく数10秒もなかったはずなのに、時間の流れが止まったかのように感じていたことを、今でも覚えている。

 

そして…気力を振り絞り、1歩。

また1歩と、少しずつ後ろ向きに下がる。

その度に、ジュニの顔は段々遠くなり、見えなくなっていく。

 

(ダメだよ、ジュニを置いていくの?)

(ジュニの傍にいなきゃダメだよ!)

 

そう叫ぶもう1人の自分を必死に抑え込む。

ジュニとの今生の別れの、最後の時間を、1秒1秒、自身の記憶に、心に、刻み付けながら、歩を進め、とうとう私の視界から、ジュニの収められた棺は見えなくなった。

 

 

歯を食いしばり、拳を握りしめて外に出ると、先に出ていた父が待っていた。

これから火葬するにあたって、火入れの瞬間、またお坊さんがお経をあげてくれるので、ここで待っているように、と指示があったという。

最後にジュニとお別れを済ませた母が戻ってきて数分後、Hさんがやってきた。

 

 

Hさん;

「これから、火を入れますので…そろそろ、煙が見えてくると思います。

火が入りましたら、鐘がなりますので、そうしたら、お坊様のほうでお経をあげていただく流れになっております。

ジュニちゃんの魂が天国へ迷わず昇っていけるように、手を合わせてあげてください」

 

ナナの時と違うな、と思った。

ナナの時は、最後の挨拶をした後、何の合図もなく、ただナナが火葬されているであろう場所を見つめながら、火葬が終わったという知らせを境内で待つだけだった。

こうして、火を入れ、ジュニの魂が昇っていく瞬間まで弔いのお経をあげてくださるとは、10数年も経つと変わるもんだな、と他人事のように思う。

 

でも、それでふと気が付いた。

そうだ。向こうには、ナナがいる。

好奇心旺盛で、姉弟して張り合いながら大きくなって、甘えん坊で私達家族が大好きだった私の1人目の弟。

向こうに逝っても、ジュニは1人じゃない。

そう思って少し気が楽になった時、鐘の音が聞こえた。

火入れの合図。ジュニの火葬が始まったのだ。

 

Hさんが手で指示した方向に、煙が上がっていくのが見えた。

今、まさにジュニが火葬され、天国へと魂が還っていっている。

ナナ、どうかジュニを導いて。

お経を唱えてくれているお坊さんの声を聴きながら、私はひたすらに祈っていた。

 

ジュニ、どうか安らかに。

ありがとう、私達の家族になってくれて。

楽しい時間を一杯くれて。

絶対、絶対、忘れないから。

先に向こうに逝ったナナと一緒に、待っててね。

いつか、お姉ちゃんもそっちに逝った時、2人で迎えに来てね。

 

後少しだけ、続きます。