お姉ちゃん、遊ぼ~弟は、フワフワ甘えんぼのビションフリーゼ~

30年以上ビションフリーゼと過ごしてきた回顧録です。日々の記録に加え、病院やトリミングなど、その他もろもろについて、情報交換がてら交流を持てたらいいな、と思っています。

【ジュニの闘病1か月の記録】導入期終了、退院~戻った視力~

皆さん、こんばんは。

歩です。

 

本日は、導入期治療を無事に終え、帰宅した時のジュニの様子を書こうと思います。

では

翌日の土曜日。

朝一で母が電話すると、T先生から嬉しい知らせがあった。

ジュニが今日退院できる…‼‼

電話口での説明だと、昨日と同じように、午後の診察が始まる15時前には点滴が終わるので、その後に引き取りに来てほしい、とのこと。

 

この日は父も仕事が休みで在宅だったので、午後の留守番を頼み、ジュニの引き取りに向かった。

 

個室に呼ばれると、T先生からは、現在のジュニの状態と、今後の治療についての説明があった。

 

まず、現在のジュニの状態については、

  • 昨日に引き続き、食欲旺盛で、下痢や嘔吐といった副作用が殆ど見られないこと
  • BUNの値が、抗がん剤を使っている状態にも関わらず、減少に転じたこと

の2点から、退院しても大丈夫と判断した、とのこと。

 

そして、今後の治療法については、一般的な抗がん剤による治療、プロトコル25というものにそって、隔週で抗がん剤を打っていく形になる、ということだった。

 

私;「ジュニ、退院だよ!よく頑張ったね!パパも家で待ってるから、帰ろうね」

 

目薬と嘔吐・下痢止めのお薬が処方されるというので、母が会計のために残り、私はジュニを連れて一足先に帰宅することになった。

 

自転車で来ていたので、前かごにジュニ用の小さい座布団を敷き、周りをタオルでカバーしてから、ジュニを乗せてあげると、2日ぶりの外の匂いに、早速鼻をひくひくさせていた。

父から、この辺りまでは散歩で来ることもある、と聞いていたから、匂いは覚えているかもしれないけれど…ジュニにとって、視力が戻っていなければ、少し寂しいんじゃないかな、とも少し思って、切なくなった。

 

とはいえ、退院できたことはとても嬉しいことだ。

表情には出さなかったものの、自宅で留守番している父も心配していた。

少しでも早く、ジュニの顔を見せてあげたい。

それに、今日、看護師さんから聞いた話だと、やはり持参したご飯が足りず、病院で常備しているご飯をあげたものの、

「いつものご飯じゃない!」

とばかりにそっぽ向いてしまったというから、もしかしたらジュニもお腹空いているかもしれない。

そう思い、いつも以上に、自転車の安全運転を心がけて家路を急いだ。

 

事前に電話しておいたため、父は家から歩いてすぐの公園のところまで迎えにきてくれていた。

 

父;「おかえり。よく頑張ったな」

 

そう言って頭を撫でる父を認識してか、自転車の前かごに大人しく座っていたジュニは尻尾を振って、父の手の匂いを嗅いだ。

退院時、T先生からは帰宅前に、屋外でのトイレを済ませることをすすめられていたので、ジュニをその場で前かごから下ろし、公園の周りを軽く一周するだけの散歩をしてから、帰宅した。

 

父がお風呂場でジュニの両足を綺麗にしている間、私は、以前購入した盲目リングを調整していた。

購入した時、サイズが少しジュニには小さかったので、急遽一回り大きいサイズを注文し直していたのだ。

 足を吹き終え、盲目リングを装着し終えた途端、ジュニはお風呂場から一人で歩きだした。

 

私;「ジュニ! 1人で歩いて大丈夫⁉」

 

とっさに後を追いかけると、驚いたことに、何かを確かめるように慎重になってはいるものの、入院前のような弱々しい足取りではなく、歩くことを怖がる素振りも見せていない。

点字ブロック代わりにと、廊下やリビングにはジョイントマットを敷き詰めていた為、もしかしたらその感触を確かめているのかもしれない。

ジュニがそのままジョイントマットの上を直進していったところで、盲目リングの先端がソファにぶつかるのが見えた。

 

私 (心の声)

(うまく、回避してくれるだろうか…?

ジュニが家具の配置を覚えているなら、そこにソファがあると認識してくれるはずだけれど…)

 

杞憂だった。

盲目リングが先端にぶつかったと同時に、ジュニはその場で足を止め、次の瞬間自力でソファに上ったのだ。

そして、いつものようにソファの上にある座布団に全身をこすりつけたり、ソファの隙間に鼻を突っ込んだりし始めた。

その勢いたるや、散歩に連れて行ってもらえると分かって興奮している時と同じくらいで、それだけでジュニが今どれだけ喜んでいるのかが分かるくらいだった。

 

私;「ジュニ、気持ちは分かるけれど、先生にも安静に、って言われたでしょ?」

父;「お前、大病なんだから、大人しくしてなさい」

 

私と父がなだめても中々じっとしていないジュニだったが、ふと動きを止めてテーブルの上に向けて鼻をひくひくし始めた。

実は母が事前に、ジュニがお腹を空かしていることも考えて、カボチャとブロッコリーをトッピングしたいつものご飯をテーブルの上に用意しておいたのだ。

その匂いをどうも嗅ぎつけたらしい。

 

私;

「ジュニ、もしかしてお腹空いてる?

母さんが用意してくれてあるから、先に食べようか?」

 

そう言って私が準備されているごはん皿を見せると、ジュニは自分からソファを降りてきて、セッティングされるのを待つかのようにその場に座った。

待ちきれない、といった様子に、すぐにセットしてあげると、ジュニはわき目も振らずに食べ始めた。

病院での看護師さんが言っていたのは、決して大げさではなかったんだと思わせるほどのがっつきぶりで、瞬く間に平らげたあと、給水器からお水を飲んでいるジュニを見て、ふと気が付いた。

入院前、ご飯やお水の位置が分からなくて、匂いと触覚で探していたジュニが、自分からご飯を口にし、お水を飲みに行った。

 

私;「ジュニ…お前、目が見えるの?」

 

まさか、2,3日で視力が戻るってことが、あるの…?

信じがたい事態に驚いたが、お水を飲み終わったジュニは、その後すたすたと私の部屋へと歩いていく。

いっさい迷いない足取りだった。

そのまま、一度も躓くことなく私の部屋に入り、私のベッドに上がって、伸びをしてくつろぎ始めるジュニ。

この時点で、私は確信をもってジュニにつけていた盲目リングを外した。

 

ジュニの視力が、劇的に回復していたのは、疑いようもなかった。

入院前は、ベッドから落ちることを怖がって、壁側にもたれるように丸まっていたのに、今は縦横無尽に転げまわって、私の掛布団を丸めている。

自分好みに布団を丸めようとする姿は、リンパ腫で弱っていく前の、元気な姿そのものだった。

 

良かった‼

 

この日は、私も、両親も、ジュニの回復を心から喜んだ一日だった。