お姉ちゃん、遊ぼ~弟は、フワフワ甘えんぼのビションフリーゼ~

30年以上ビションフリーゼと過ごしてきた回顧録です。日々の記録に加え、病院やトリミングなど、その他もろもろについて、情報交換がてら交流を持てたらいいな、と思っています。

【ジュニの闘病1か月の記録】抗がん剤治療;導入期~不安を抱えながら迎えた日~

皆さん、こんばんは。

歩です。

 

今回は、「抗がん剤治療を家族全員の同意として行う」と決断した翌日、

いよいよジュニが抗がん剤治療を始めた時のことを書こうと思います。

では

翌朝。

9時に、私達は抗がん剤治療をお願いしたい旨を動物病院に電話した。

すると、すぐに昨日担当してくれたT先生が電話に出てくれて、すぐにでも連れてきてほしい、とのことだった。

今日から2, 3日は入院になる。

そうとは知らないジュニは、いつもとは違う朝ご飯…サツマイモ、ブロッコリー、豚肉を喜んでペロリと平らげた。

昨日、皮下点滴してもらった影響か、ここ数日が嘘のような食事ぶりだ。

そして、昨日、昼、夜と2回、目薬をさした影響かもしれないが、右目にあれほど毎日発生していた目やにが嘘のように消え、綺麗だった。

食欲も体調も、私達が記憶している元気なジュニの様子そのものだ。

大丈夫、きっと乗り越えてくれる。

そう、自分に言い聞かせて、私と母はジュニを連れて病院に向かった。

 

到着すると、既に準備が整っていたのかすぐにT先生に呼ばれた。

昨日のジュニの様子、

・ご飯を数日ぶりにお替りするほど食べたこと

・昨日の昼、夜と点眼したら、右目の腫れが少し引き、目やにが出なくなったこと

・少し目が見えるようで、昨日よりは歩き回るようになったこと

 

私;

「昨日の皮下点滴と処方していただいた点眼薬のおかげだとは思うんですけれど、いくらか食欲も戻りましたし、目も少し、見えるようになったようなんです」

 

T先生;

「それはよかったです。

それで、今日の流れなんですけれど、まず、脱水症状などにならないよう3,4時間ほど点滴をします。その後、早速抗がん剤を少し打ちます。

今日から2,3日こちらで預かって、その間点滴だったり、副作用といったところが出ないかどうかというのを確認していきます。

もし、何かしらの副作用、例えば下痢とかが出た場合は、その対処用のお薬をかぶせる、という処置をしていきます」

 

私;

「昨日のお話ですと、嘔吐や下痢のほかにも、肝臓や腎臓のほうにもダメージが来る、というのも副作用、とのことでしたよね?」

 

T先生;

「そうです。肝臓や腎臓の酵素が跳ね上がることもあるので、その時はそれらの値を抑えるお薬も複合的に投与してあげなければいけません」

 

私;

「今のところ、ジュニは消化器系も心臓も呼吸も、私達の見ている限りは全く正常なんです。

昨日も、あれから私のベッドでお腹を天井に向けた状態で爆睡していたくらいなので…そんな状態だったから、私も両親も全くこの子の異常に気が付かなかったんです。

ただ、2週間前から急激にやせてきたのと、視力が落ちてきたから、何か変だな、って思って…」

 

T先生;「そうですよね。ちなみに、今ってお薬は飲まれてますか?」

 

私;「いいえ、全く飲んでないです」

 

T先生;

「でしたら、今日は皮膚から少し細胞も取らせてください。

抗がん剤を打ちますと、ある程度自分の免疫が落ちていきます。

なので、例えば、皮膚炎があったりすると、それが酷くなっちゃったりする。

もしそこで細菌がいるんであれば、どの抗生剤が効くか、っていうような抗生剤の感受性試験、細菌に抗生剤が効くか、というところをさせていただきます。

効くのであればその抗生剤を使っていく、という形です。

なので、そこの細菌だけ培養検査をします」

 

母;

「ということは、ちょうどこの子の2回目の抗がん剤治療と同じくらいの時期に結果が出るということですね?」

 

T先生;「その通りです。その結果を受けて、使っていく抗がん剤を選定します」

私;「すみません、ジュニの体重って、今どれくらいでしたか?」

T先生;「さっき測った時には、7.2kgありましたね。昨日は7kgくらいでした」

私&母;「そうですか!?」

 

良かった。少しでも食欲を取り戻して、食べたからなんだろうけれど、ジュニの中で、生きようという意思はやっぱりあるんだ。

そう思って胸を撫でおろした。

ただ、前回、フィラリアの検査時が8.3kg、その前の4月くらいの時が8.6kgだったから、やはり少しずつ体重が落ちてきていたことになる。

その時に、原因を調べてもらっていたら…そんな後悔もよぎった。

 

 

もうジュニは点滴を始めているとのことだったが、会うことはできるというので、待合室で待つことになったが、個室を出る前、母が頭を下げた。

 

母;

「先生、最悪のケースは覚悟してますけれど、なるべく、いえ、ジュニを、生かして返してください」

 

少し、母の声が震えていたのにも、きっとT先生は気付いていたんだろう。

 

T先生;「一生懸命、やらせていただきます」

私;「お願いします」

 

先生の真摯な答えに、私も頭を下げた。

 

それから15分後。

個室に呼ばれ、中に入ると、ジュニは既に後ろ足に点滴の針を刺した状態だった。

 

私&母;「ジュニ!」

その途端、ジュニが大声で鳴き、今までにない勢いでしがみついてきた。

いや、しがみつくなんてレベルじゃない。

こんなにやせ細った体のどこに、こんな力があったのか、と思うくらいの勢いで必死に母の体をよじ登っている。

 

母;「ジュニ、ちょっと、お母さん、身体が無理!」

 

母がジュニの勢いに倒れかけたので、慌てて私が抱っこすると、今度は私に対しても同じようにしがみつき、肩口まで登ってきた。

ジュニがこんなに暴れたのは、2年前。

急に体調を崩して10日間近く入院した時以来だった。

だから、自分がまたここに入院になる、と勘づいているんだ、と分かった。

 

私;

「ジュニ、今日は入院だよ。お前の中にいる、悪いものを先生達に退治してもらわなきゃいけないんだから」

 

駄々をこねるようにしがみつくジュニを抱え直し、そっと頭を撫でながら語り掛けた。

 

私;

「ジュニ、お姉ちゃんも、ママも、パパも、お前が元気で戻ってくるって信じてるからね。頑張るんだよ。リンパ腫なんかに負けちゃダメだよ」

 

母;

「そうだよ、ジュニ。ジュニが退院した時、好きなもの用意して待ってるからね」

 

 いつも家族の誰かと同じ空間にいる、むしろくっついていたい、というところのあるジュニは、こういう時はとびきりの甘えん坊になる。

本当に、年の離れた弟そのものだ。

 

T先生に頭を下げて、ジュニを託し、私達は病院を後にした。

何かあれば、動物病院からすぐに電話してもらうことになっている。

 

あれだけ、暴れる元気があるなら大丈夫。

ジュニは絶対、帰ってくる。

不思議とそんな予感があった。